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21世紀 仏教への旅

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本を読んでも内容を忘れてしまうので、後から見やすい様にと最近は線を引きながら読むことにしている。すると、言葉のひとつひとつがとてもはっきりと意識できる。

五木寛之の「21世紀 仏教への旅 ブータン編」で、まず最初に思ったのは、文筆家に向かって言うことじゃないけれど、素直に言うなら「文章がうまい」。(これをもっとうまく表現する言葉を知らない自分が情けない)

言葉、表現はもちろんだが、まるでふつうの会話の中でふと思いついたことのように、ついで、ついでに、ブータンの歴史や王政や環境問題やその他いろいろと情報をさりげなく織り込んでしまっている。ブータンについての必要情報はかなり網羅しているし、あまり語られない問題点までも拾い上げているので、初めてブータンに行く人には最良の手引きになるだろうと思った。

最初のブータンの印象が、多くの日本人のように、故郷のような懐かしさであったにもかかわらず、短い滞在のうちに、実は日本とはまったく違うことを見抜いてしまうあたりは、するどいなんて言ったら失礼かも知れないけれど、ツーリストだけでなく研究者でも日本との共感をそのまま持ち帰る人が多いのは事実で、私も最初の3年くらいは盲目的にいい国だと思い込んでいて、滞在してからやっともっと多面的なところがほんの少し見えてきたものだったなぁ。。。

やられましたね、と思ったのは、ドライバーに魚釣りをするかという質問をしたら、ブッディストだからと答えられた、と、うかつな質問を恥じたというくだり。まあ、心からそういう人もいるのだろうけれど、このシテュエーションはよくあるパターン。期待された答えを質問者にプレゼント。もう一度ブータンに行って同じドライバーが釣りを楽しむ姿を見てショックを受けて、ということがもしあれば、また面白い話しを書いてもらえるかしら。

まだ読んでいないのだけれど、英語にも訳された「他力」(TARIKI)の著書の中でテーマにしている、人間が今求めているもの、目にみえないものの価値、を、このブータンの旅においてブータンの人々や仏教文化に触れて、より確信を深めていくという、いわばこの本は著者の心の旅の記録なのだということを、最後に意識したということは、私がブータンの仏教を知ることができるのではないかという方向の違う期待をもって読み始めたからだった。

質の高い紀行文を読んで、今度はあらためてブータンの仏教を日本人の感覚をなるべく排除して、きちんと学んでみたいと思った。三蔵法師や河口慧海のまねはできないから、今枝由郎氏のブータン仏教の本をもう一度真剣に読むことにしよう、という次の宿題を自分に課した。

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